りんごごりららっきょう

思っていること、昔の思い出

木蓮の涙

50歳代の男性。がんのstageⅣで見つかった。

ステキな人だった。

医療者だった。

同職種は少し扱いが難しい。

看護師の仕事を、わかってるからこそ、騙されないというか、上っ面だけでは見破られる。

こちらは、構えてしまうところがある。

構えているのも見破られるような気がする。

 

頑張って治療をしていた。

でも、少しずつ進行しているのは誰の目でも明らかだった。

多分、自分でも気づいていた。

頑張ってるのに結果に繋がらず

少し苛立ちが出ていた。

 

苛立ちの矛先は奥さんだった。

 

がん治療をする人たちは余裕がなくなって、怒りを他者にぶつける人は多い。

私は、苛立ちをぶつける相手がいる人は少しホッとする。

いい人過ぎると、気づかないうちに心の病気になってしまう人がいるから。

苛立ちをぶつけられる家族はとても辛い。

家族によっては、

いくら、辛いとはいえ、ここだけの話、もう、早くお迎え来てほしいと思うくらいストレスだという。

 

そんな時、辛いけど、怒りを出せるということは、あなたにそれをしても許されると信頼してるからなんですよ

と声をかけるようにしている

 

 

その方も

奥さんがどれだけ、気をつかうことができないのか、無神経な人なのか、とめどなく愚痴が出てきていた。

奥さんも辛いだろうなと、思い声をかけても

奥さんは、人見知りの方でなかなか距離を詰めさせてはくれなかった。

 

だんだん食事が取れなくなってきていて

在宅で過ごすのが限界に近づいてきていた。

背中をさすりながら話していると

 

あいつが言うんだ。私を置いて行くんのねって。泣くんだ。

 

と淋しそうに愚痴った。

 

返す言葉が出ず、辛いねって声をかけながら背中をさすった。

 

木蓮の涙は、そんな彼を思い出す。

歌詞を読むと涙が出る。

https://www.youtube.com/watch?v=h2_eBNiimPo&feature=share

 

 

大事な方を亡くされた方は、一度聞いてみてほしい。

その時の苦しさ、淋しさは拭いきれないけど、一緒に寄り添ってくれるようなそんな歌だと思う。