電話で元気をもらう①
留守電にばあちゃんからメッセージが入っていた。
旦那さんの名前を名乗っていた。
旦那さんの名前を、名乗ったことで私は誰か分かった。
その旦那さんは私が働いていた時の患者さん。
なぜ、その人が私の連絡先を知ってるのか。
それは、同僚の祖父だったから。
同僚から聞いたらしい。
旦那さんはだいぶ前に癌で亡くなった。
旦那さんはなぜか、私をとても気に入ってくれた。
末期癌だったのに、どんどん痩せるのに、私の顔を見ると元気が出ると笑顔になってくれた。
ばあちゃんは何喋ってるか訛りが強くほとんどわかんなかったけど、私としゃべる時はずっと笑ってくれていた。
病状が深刻なのに、明るかった。
顔を見ると元気が出る。と言われると嬉しいけど、それ以上のこともできず申し訳ない思いもあった。
ある時、キウイ好きか?
と聞かれた。
大好きだよ❤️と答えると、
ほとんど食べられていない体でキウイを取ってくれて次の日持ってきてくれた。
たっくさん。
普通、受け取ることはできないんだけど、断ったら絶対ダメなやつだとありがたく頂いた。
ばあちゃんから、いつも病院から帰ったら寝てるのに、外でウロウロして取ってたんだぞ!
あんたが、好きって言うから、頑張ったんだぞ!
と笑いながら言われて、申し訳ない思いでいっぱいになった。
辛かった職場で、私も励まされていた。
そのばあちゃんから留守電が入っていたのだ。
患者さんだった人にプライベートで会うことは極力避けてきたけど。
嬉しかった。
すぐに折り返した。
変わらないばあちゃんは笑っていた。