富士山へ ⑤
夜中に眠れなかったので夫に
「明日、頂上まで行ける気が全くしないんだけど?」
と伝えると、頼りにしていた夫からまさかの返答が!!
「俺も」
私は、あんたを頼りにしてここまで来てるんだよ!
突っ込みを入れたかったのですが
少しの怒りと疲労もありそれ以上、夫とコミュニケーションをとることをやめました。
あんまり眠れないまま23:30に山小屋を出ました。
とっても寒いので、さっそく、レンタルの防寒具をすべて着用しました。
真っ暗な中、ヘッドランプを着けて出発。
高度が高くなるせいか、歩くとすぐに動悸、息切れ。歩く道もかなり悪くなっています。
吉田ルートは初心者向けって書いてあったじゃん!これ、初心者向けなの?
富士山を侮っていた私。
簡単に上ることに賛同した私。
全ての私を反省しました。
ちょっと休憩入れようよ!というと、すぐに許可してくれる夫。
しばらくして気づきました。
私より夫のほうがかなりダメージを与えられていたようでした。
それに比べて、すらすら登っていく息子。
休憩を入れるたびに「またぁ?」
と少しいらだちが生じているのがわかりました。
休憩の頻度が多すぎて私から夫に「休憩多くない?」
って聞くと、余裕のなくなっていた夫から
「そんなこと言うなら下山するからな!」
というよくわからない脅しをかけられます。
振り向くと夫はトレッキンギグポールに全身を預け息を切らしていました。
私が足を引っ張ると不安でいっぱいだったのに、夫のほうが足を引っ張っているとわかると急に腹が立つ私。
どんどん進んでいく息子、まったく進まない夫の間にいる私は、
夫に言いました。
「お前!どんだけへたれなんだよ!!」